Fラン学生の多くは自分の能力が低いことにきづけません。
何か問題が起きるとすぐに自分が悪いのではないとして、他人の責任「他責」にしたがります。彼らはおそらく幼少のころから同じようにできないのは自分の能力が低いのではなく、周りの何かが悪いと考えます。社会に出ればはっきりと給料や地位に差がでるのですが、学生の間は明確にでません。
例えば、バイト先でもはっきりとクビと言われることは少ないです。4年生のA君は、勉強ができないのですが、常に「自分は高校の時にきちんと勉強していないから」とか「本気でやればいつでもできる」と主張します。
ところが実際に試験をするとほとんどできず、卒業さえアブナイ状態になっています。4年生の時は、ほとんどの学生が卒業論文だけになります。出来の悪い学生の場合は、3年生までに取得しなければならない科目もとらなければなりません。
A君の場合は前期(4月~7月)で卒業研究以外に2科目(4単位)だけとればよかったのですが余裕をもって4科目を受講していました。ところがA君は非常にわきが甘いというか自分の能力が低く、授業中で問われいていることがわからないことが多い学生でした。心配して折に触れて「授業はきちんとでているの?」と声をかけるたびに「大丈夫です!授業にはでているので単位はもらえると思います。」と元気に答えます。
授業が最後のあたりで念押して本当に単位は大丈夫なのかと確認すると、レポートを提出したので、多分大丈夫との返事でした。これで後期は卒業研究だけなんだろうと思って安心していたら、結局4科目中3科目不可となってしまい、2単位しかとれていません。後期に結局通常の講義を1科目以上の2単位をとらなければ卒業単位にとどきません。普通4年生の場合は、卒業できないと問題になることが多いので、ある程度教員側も忖度するのですが、レポートがどうやら相当ひどかったようです。「だから注意していたのに…。」
A君もショックだったらしく、「レポートだしたのになあ。」とか「自分では大丈夫だと思ったのに…。」と残念そうです。
A君は我々の要求に対して、期待を下回る成果物を提出してくることがほとんどで、自分ではこれで問題ないと思っているらしいのですが、さすがにFラン学生といえども認められないレベルです。
A君は居酒屋でかなり大学2年生ぐらいから居酒屋でバイトをしていました。新型コロナの影響で一時的に居酒屋は縮小でバイトは必要ないといわれたそうです。それからしばらくして、私の地方では飲食は復活してきましたが、A君はバイト先の居酒屋から戻ってきて欲しいと声がかかることがなかったようです。
ほとんどの人が短期間で辞めていくにも関わらず、2年以上続けて店長とも仲良しでたまには食事に行くぐらい仲が良いといっていたのですが、再開にあたり、まったく連絡がなかったようです。居酒屋は通常営業にもどっており、店の前にはアルバイト募集の張り紙が貼ってあります。
おなじ居酒屋でバイトしているB君はA君の後輩で3年生なのですが、B君によると店長さんは「A君は使えない。」とぼやいていたようで、残念ながらA君の評価は大学でもバイト先でも低評価です。
A君は一部上場企業に内定をしており、就職できます。それなりの規模の企業なので、給料も一般水準よりは上でしょう。しかし、彼らのような自分の低い能力に気づけない社員を育成しなければならない企業には同情します。
卒業研究をする時期とはいえ、Fラン大学の場合はかなり時間に余裕があります。「バイトはしないの?」とA君に尋ねたら、
「バイト先から連絡がくるのを待ってます。」と悲しい答えが返ってきました。