事務所から工場への配属は片道切符

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同僚A氏は40代後半で工場の組立工程の担当者です。私が大学の就職に関して副業(アルバイト)をしているのを聞きつけ、お昼休みに私に就職の件で相談したいと言ってきました。お昼休みも終わりの方だったので、とりあえず勤務が終わった後に少し話を聞こうということで約束をしました。

無能な事務職がライン工に配属替え

現在私が働いている業界は活況で人手不足が続いています。工場の組立ラインと言っても製作する部品はいくつかの種類にわかれます。工場勤務の場合は、どこを担当するかによって忙しさがかなり違います。大きい部品は重量はあり危険なのですが、じっくりと時間をかけることができるのですが、小さい部品はなるべく早く効率的にすすめたくなります。複雑な工程のラインほど、繁忙期は納期に間に合わせるために残業が多くなりやすいです。
同僚A氏は元々事務員で雇用されたのですが、7年前に工場のラインに配属になったそうです。以前は課長格だったらしいのですが、会社にかかってきた電話を取らないとか部下の指導がきちんとできないというクレームが部下の女性社員から経営陣に殺到したとのことで、配属替えになったとまわりの人から聞きました。配置換えになったのは私の入社前なので、状況はよくわかりません。
わが社は事務から工場への配属は基本的に追い出し部屋というか、「イヤなら辞めても結構ですよ。」という意思表示です。それでも会社を辞めてもいくところは無いし…。ということで工場のライン工に配属を変えたそうです。

勤務終了後、待ち合わせ場所にしたショッピングモールのイートインコーナーに同僚A氏が現れました。アルコールは無しで喫茶店に行って話を聞きます。

「転職をしたいのだけどどこがいいのか迷っていて…。仕事はどうやって探せばいいのかな?」
「資格とか何をもってます?」
「普通運転免許と床上クレーンぐらいかな…。」
「床上クレーン」の資格とは床上運転式クレーン限定免許のことで、工場の天井にあるクレーンを使用するのに必要な免許のことです。
「どんな仕事をしたいのですか?」
「…できれば内勤がいいんだ。」

事務は転職者に人気な仕事です。女性の応募が多いとはいえ、男性だってできないことはない。ただ、同僚A氏の事務能力がどれくらいかわからないし、私が主に情報が集まるのは新卒や第二新卒向けの若い人向けです。
そこから怒涛の様に工場内の人間関係の不満を口にします。工場内にはクセが強い人間が多く、一度こじれると中々解消しません。部品を行き来するライン同士で仲が悪い人間同士が関わるとかなりの確率で人間同士のトラブルが発生します。同僚A氏と他の社員とで人間関係がうまくいっていないようです。
ん~居酒屋にした方がよかったか、やはりアルコール無しの方がよかったか…。

「ていうかあんたの部署でもいいんだけど。」 「は?」
「あんたの部署のんきでヒマそうだってみんな言ってるよ。」
いや同僚A氏には無理でしょ。こっちは社内失業者かもしれないが、会社にこいつはもしかしたら使えるかもしれないとうっすら期待されるように見せかけているんだけど。同僚A氏は事務仕事を仕事をしている間に「無能」という評価を受けたわけでしょ。と思いつつ、「そうですね。その方が同僚Aさんの能力を考えたら実力を発揮できるかもしれませんね。部長に一度相談してみますよ。」とあやふやな返事をして、その日は終了しました。

基本的に戻れる道は無い

後日部長に話をしたところ、同僚A氏には基本的にはもうチャンスは無いとこと。事務職から工場内のライン工への配属はほぼ片道切符であり、元に戻すことはほぼあり得ない。使えないからライン工への配属なのだと絶望的な言葉を…。

工場から伝票をもって事務所にはいってくる同僚A氏がこちらをチラッと一回みるのをさりげなく視線を避けてしまいます。
さて、なんと言い訳をするべきか…。

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