仕事をしている人の評価というのは難しいものです。
営業などは取ってきた仕事で単純に評価すればいいと思うかもしれませんが、実際にはそういうものではありません。
営業のAさんは地元の有力な企業とコネクションがあり、仕事の受注を件数でいうととびぬけて受けてきます。ただし、1件1件は比較的小口です。
経営陣も本当は全国展開をしている企業と大口の案件の契約を結びたいのですが、このご時世、あまり仕事をえり好みできません。Aさんの受注も必要なことだとなんとなく認められていました。
大企業では最近はコンプライアンスなどが強化され、パワハラなどの防止に力を入れ始めていて、下請け企業いじめなども最近では企業そのものが真面目に対応する姿勢を見せています。実際には隠れたところでパワハラや下請けへの仕事の丸投げなどは無くなってはいませんが、減少傾向にはなっています。
Aさんの取り入っている会社は、ワンマン社長で有名で社員が直ぐに辞めてしまうと噂の会社です。Aさんが接待がてらウチの会社に社長や営業部の人をつれてくることがあるのですが、かなり横柄な態度で来て、こちらが頭を下げてあいさつをしても見向きもしません。お茶を出すときの女子社員だけはジロジロと視線を絡ませてくるのでとてもイヤだとお茶当番の女子社員から愚痴られたこともあります。
いかにもこちらに仕事を割り振ってやっていると言わんばかりの態度で、ある部分それは正解であるし、Aさんはウチが存続しているのは社長のおかげですと靴でもなめんばかりにヨイショしまくります。
会社が小規模の時には、お得意様だったようで、古くからいる工場長などは顔なじみであるのですが、結局小口の仕事というのは細々としており、納期もかなり短納期の契約を迫ってきます。
仕事というのは大口でも小口でも1件と数えます。わが社では仕事を受注すると見積もりや検査書類などはどんなに規模が小さくても必要になります。
規模の大小によらず、結局書類の作成手間というのはそんなに変わりません。
書類を作成する側からすると、「サクッと書類つくっちゃってよ。」といわれてもそうもいきません。工場からの製品データをエクセルで入力して、仕様に合わせた製品であることを証明できる書類を作成しなければなりません。短納期の場合は、製品が出荷される前に確実に行わないとトラブルになる可能性があります。製品のチェックでミスがみつかったけど製品はもう相手先に納入されてしまったなど許されることではありません。
ところがA氏の案件は大抵の場合「すぐ作って、すぐ寄越せ。」です。そのため、たまにですが不適品が相手先に納入されてしまいます。
品質管理の人間は、その度に謝罪に行かされ、怒られまくります。この時に一緒のA氏が同行するのですが、取引先の社長と一緒になって罵倒してくるのです。
顧客に寄り添う営業が優秀と言いますが、自社よりも顧客第一になる営業は本当に迷惑です。
A氏自身は優秀な営業です。それは間違いないが、自分が成績を残すのに社内で嫌がられようが、相手先の社長に取り入る方を選んだのであろう。
部長の話では、営業のテコ入れで大型案件以外は縮小傾向でいこうと通達がでるみこみらしい。小口で成績を残していたA氏はどうするのか興味深いどころです。