工場の効率化を社員が理解しない理由

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我々は社内失業中の部署であり、能率を考えたら部署を閉鎖して人事異動をしたほうがはるかにましです。わが社は工場以外の社員はフレックスタイム制で、残業もほとんどしないように配慮されています。有給休暇も特に上司にイヤな顔をされることもなく受理されます。あまりにも社員のためを思いすぎて、残業をしなくていいように受注量を減らしました。当然残業は無くなりますが、会社全体の利益も落ちています。朝礼では工場長が悲壮な顔をして「能率をあげましょう!」「利益率をあげましょう!」それによって賞与に反映されますと事あるごとに親会社からの指示で言わされていますが、工場の人たちはよどんだ瞳で虚空をみつめています。

効率化、平準化と管理する側は繰り返しますが、管理側の中規模の工場ではマネジメントに詳しいわけではなく「ボクのかんがえたさいきょうのこうじょうシステム」みたいなのを押し付けてきます。当たり前ですが、人間はロボットではありません。今日1時間に3個製品が製作できたからと言って、明日も同じ能率とは限りません。
夫婦喧嘩などの家庭問題、お酒の飲みすぎによる二日酔いなど、ある意味人間らしい理由で簡単に能率は落ちます。

社員Aがさぼっているのをずっと仕事中に監視する社員B

あるラインの社員Aが、仕事中に姿が見えないことが多くそれほど仕事が停滞するわけではないのですがまわりの人間から不満があがっていました。どうやら長時間トイレにこもってスマホをみたりタバコを吸ったりしてサボっているようです。姿が見えない時に限って男子トイレの大便所が使用中であるとのうわさがチラホラ…。一応工場近くのトイレは大便所が二つあるので、どちらか片側が使えますが社員Aの姿が見えない時は大便所が一つふさがっているのでもう一方を使用するとしばらく満席になってしまうのです。
自分がサボるのは平気でも他人がサボるのは我慢ならないのが工場従業員あるあるですが、その中でも他人に対してだけは厳しい社員Bは、社員Aの行動をつぶさにメモを取り始めました。何時何分にラインから離れ、その時にトイレの状況を確認し、何時何分にラインに戻ってきた等…。
その記録をもって社員Aが仕事をサボっていると社員Bが工場長に報告しにいきました。ドヤ顔で説明してあいつ不真面目だと言うが、ちょっと待てと。「社員Bはその時間を測るのを仕事中にしていたんでしょ?あなたは勤務時間中にサボってたことにならないの?自分の受け持ちの仕事はどうなったの?」といわれて社員Bは急に下を向き黙り込んでしまいました。

ベテランほど変化を嫌う

工場で働く人たちは、腕一本で生計をたてるといった職人気質の方から、Fラン大学の学生並みにただ言われたことだけやるという無気力タイプ様々です。
比較的管理側の言う事は聞きますが、自分から効率化とかを進める人はまずいません。結局効率化とは残業を減らすことにつながり、自分の給料が減ってしまうことをわかっているからです。
製品を一日8時間で3個製作できるのであれば、2時間残業して10時間で3個製作すれば、2時間分の残業代がもらえます。8時間で例えば4個製作したとしてもお金は8時間分しか自分の給料にならないのです。それが通用してしまうと今度はその状態を続けようとしてしまいます。だって能率落ちた方が残業つくし仕事もゆっくりやればいいので、社員A氏のようなトイレで長時間休憩してのんびりやろうという人もでてきてしまいます。
それを見極め、うまく誘導するのが工場管理と言えなくもないのですが、上手に進めている工場はあまり多くありません。

完全ロボット化にならなければ人間は必要です。人間は感情で動くので、必ずしも計算どおりになりません。経営陣はつい忘れがちですが、自分たちだけ高給をもらわず社員に還元できるような仕組み示せばよいのですが。

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