ロボットのように働きたい人達

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新人B子さんは工場で製造管理をしている女性です。小柄なあかるい頑張り屋さんです。わが社の製造管理は、工場内で一日にどの程度生産が終了したか、いついつまでにどのくらいの生産を終了するかを管理する部署です。
夏場の工場はかなり高温になります。最近の日本は毎年異常気象というか熱帯化しており、ちょっと耐えられないぐらい気温があがります。当然夏場は水分補給が絶対に必要なのです。水分補給だけは休憩時間でなくとも問題ありませんが、新人B子さんは入社当初につい水筒などを忘れてしまった時に持ち場を離れるのを気にして水分をとらず熱中症状態になってしまったこともありました。

工場内のオジサン達に大人気

工場内の職人はくせ者ぞろいで管理者にはいやみの一つも言うものですが、工場内になじもうとしている新人B子さんは比較的好印象で、工場に比較的短時間で受け入れられていました。工場は古株のおっさんが学は無いものの腕がいい職人さんが多く、一癖も二癖もあるタイプがたくさんいます。
新人社員は若くても年寄りでも最初はまわりに状況がわかりません。まずは愛想がとても大事です。工場内でのボス的な存在を早く嗅ぎ付け、味方にならないまでも敵にしないというスタンスをとるべきです。ボスは必ずしも工場内での地位が高いとは限らないのが難物ですが、入社して2~3週間以内の人間関係が分からない間にそのボスとトラブルを起こすと非常に面倒な状況になります。

新人B子さんはその辺の嗅覚が鋭く、無事に工場内の裏ボスに気に入られたようです。休憩時間などによくジュースをおごってもらって談笑しているのを見かけました。

元気に仕事をしていたが急に…

製造管理は製品の流れを読み、出来高を記録し、一か月程度の計画を建てるとても重要な場所です。もちろん新人のB子さんにすべてを押し付けてもこなせないので、製造管理部の課長が最終的な決断はします。
社内失業中で事務所を間借り中の私が所属している部署は、忙しい人たちからみると存在が許せないらしく、当然出来高を神経質に管理しなければならない製造管理部の課長からはとても嫌われています。しかし、B子さんは会社に寄生しているような我々にもニコニコ対応してくれて天使の様です。

彼女は最近の若者らしく、学生時代にスマホしか使ったことが無い世代でPC作業が苦手なため、私にPCの操作方法を質問してきます。大抵はPC操作の簡単な質問をしてくるのですが、私の方もヒマつぶしに最適なので丁寧に教えるので彼女もわかりやすいと感謝してくれます。
「ありがとうございます!」と礼儀正しくお礼を言われると社内失業中の後ろめたさもあり、ちょっと照れます。
雑談の中で冗談めかして「本当は頭を使ったりする仕事はあまり好きでは無い。ロボットのように一定のことを作業する仕事が本当はやりたい。」と言われたことがありました。ちょっと意外に思ったのですが、あまり複雑な仕事はしたくないようです。

退職代行を利用して急に退職

ある日、工場の部長職の人たちがあわただしく会議室に入っていきます。大抵こういう場合揉め事が起きています。どうやらB子さんが今はやりの退職代行を使ってわが社を退職したいと連絡したとのことです。どうやら本気で製造管理の仕事はもうやりたくない、工場のラインにはいりルーチン作業のような仕事が自分にあっているのだというのが退職理由らしいです。
退職代行を利用して、今後本人に連絡を取らないように申し入れがされているので、誤解があっても解きようがありません。

働き方改革はAIやロボットに置き換えられるような仕事を減らすことにつながるはずです。もっと生産的な仕事を人間がやろうと。それにも関わらず人によっては会社を辞めるほどルーチン作業をしたがる現状に働き方改革とはどうすればいいのかと考えさせられました。

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