同じ企業で非正規雇用を5年続けると希望次第で無期雇用へ
2018年春に非正規雇用の労働者が5年を超える場合は、希望することにより無期雇用となる制度が適用されました。大学などの教育機関でも例外ではなく、例えば実務経験を講義するタイプの非常勤講師などもこの対象となります。
実務経験も持ち、ある程度学生に対して講義ができる民間の人材はそんなに多くいるわけではありません。講義1コマに対して、報酬が多く払える学校ならば良いのですが、必ずしも潤沢な資金を持っているわけではないので、大学で教えているまたは、教えていた、若者が業界に入るのに自分の体験談を伝えたいなどの理由があわないと中々みつかりません。可能であれば10年単位ぐらいでお願いしたいのですが、こういった大学の都合にあわせていただける非常に好意的な非常勤講師の方々も5年を目途に契約を見直さなければならない状況になってしまいました。
トラブルを避けるために雇い止めをする起業
ある講師が、いきなり無期を希望すれば、大学側は無期としなければならない現状となっています。
そのため、講師をおねがいしたいに関わらず、5年目に近づいているために次年度は別の講師にお願いして、一年あけて再契約するような方法を進めています。
要は契約が5年以上連続でなければ、無期雇用にする必要性がないのでお休みの期間を設けたいということです。
科目によってそんなに都合がよく該当者が見つかるわけではなく、大抵前任者の知り合いなどのつてで短期間だけ代わってくれる方を探しています。大学の講師経験は、経歴にも書けるでしょうし、割り切ってしまえば魅力的でしょう。例え一年だけだとしても嘘ではありません。大不評で辞めさせられたとしても学内から漏れる可能性も低いですし。
上のケースは大学の場合ですが、経営側としては、非正規で長年頑張ってきた人達を無期雇用しなければならない可能性やそれに伴う問題を回避するように、いわゆる雇い止めを行うようになってきています。
有能かどうかは関係無い
非正規の事務職員の方で、その会社に長年勤め、会社の行事や色々なことを知っている人の方が、正規非正規に関わらず仕事が回せるはずです。経営者はあまりメリットを感じずに、無期雇用は余計なコストアップにつながるかもしれないと考えてしまうようです。さらに無期雇用を要求された場合のトラブルを考えると、5年を目途に交代させた方がいいと考えてしますようです。
非正規の優秀な人材よりも、非正規の優秀でない問題の多い人材を抱え込まなければならないリスクを取らない方を選択する。
ということは、非正規や非常勤でもよいとして好意的に協力してくれる方々まで契約しないことにつながり、安定した教育の提供がしにくくなる可能性が高いです。
優秀な人は、入り口がどのルートであっても正規雇用までたどり着けるでしょうが、能力が普通の人や組織が無期雇用を望まない人材には、今後進路が極端にせまくなるのではないでしょうか。