部下の残業0管理で上司にアピール

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Aさんは私の所属している工場の庶務グループのリーダー格です。以前は庶務グループにもグループリーダーという役職があったのですが廃止され、庶務係は東京にいる部長職が一括で管理しています。
現在どの拠点にもほぼTV電話が配置され、遠隔で会議を行うことができるようになっています。庶務係のTV会議が終わった後に事務員のAさんが目を吊り上げながら部屋を出てきました。まずい。怒っているようです。
「B部にはホントにあきれた!フレックスタイム制についてチェックしたら私は月に30分の残業なので今月はぴったりの時間にして欲しいだって!」

残業を本当に「0」にして欲しい

勤怠管理の管理方法はPCかスマホから勤怠管理システムにアクセスして出勤と退勤を送信する方法をとっています。デジタルで管理されるので、一分単位で勤務時間が計算されます。出退勤を押し忘れた場合は訂正する方法もあるので社員が自主的に労働時間を管理できるというわけです。

わが社はフレックスタイム制で9時から12時をコアタイムにして残りは勤務時間は自由になっています。以前はコアタイム無しのスーパーフレックスだったのですが顧客から連絡が来たときに、次にいつ会社の出勤しているのか電話の取次ぎ者がわからず、予定が書いてあっても守らない社員が多数いたので午前中は少なくとも出勤状態とするように決まりました。

月に20日出勤だとすると、8時間×20日で160時間/月になります。一月の勤務時間の総計が160時間を超えた分を残業代とするシステムをわが社は採用しています。時間は一分単位で計算されます。Aさんは一月を通じてトータルで160時間30分だったということです。Aさんの部署の部長はそれが気に入らないというか、残業が本当に「0」分ということで自分より上の経営陣に報告したいようです。

システム上の時間を0にするためには月の最終日に時計とにらめっこしながらタイムカードシステムに退勤を入力しなければなりません。月末は退勤時間の調整をしながら働いてくださいということらしいです。
あまりにもバカバカしいので、Aさんは上司の部長にそんなくだらないことをなぜやらなければならないのかを訴えたのだが聞き入れてもらえなかったとぼやいています。

残業0時間達成の管理者アピール

残業がほぼ無くなったというアピールは確かに経営陣に向けて良い報告なのでしょうが、実際に社内で行われている運用をみたらどう思うかわかりません。
自分で勤務時間を管理して社員が自主的に高い意識をもって残業を削減している。聞こえはいいのですが、月末の忙しい時に月のトータルの労働時間を確認して、各社員が時間ぴったりで残業が0になるように調整している光景が各支所で行われています。
ある社員は午後の3時15分に退社、ある社員は16時05分に退社とかカオスな風景が月末に繰り広げられているとのことです。
経営陣には数字の報告しか行かないので、社員がこんなくだらないことに時間を使っていることに気づきません。残業を0時間である報告を気分よく聞くそうで、残業が多い部署は改善せよと言わるようです。

Aさんの愚痴を一通り聞いて、「面倒くさいですね。大変ですね。」ととりなしておきました。常日頃こういうコミュニケーションをとっていて仲良くなっておくと後々役に立ちます。
席にもどると年下上司氏が「よし、今日も6時ぴったりに退勤押せた!」とよろこんでいます。彼もおなじように残業0を目指しているようですが、退勤の数分前から時計をじっとみたまま退勤を押すタイミングを待っています。彼は一日の勤務時間を8時間で記録することに一生懸命で、まったく疑問も感じていないようです。
時間管理は社会人の基本だ。こうやってやるんだよといわんばかりのドヤ顔でこちらを見てきます…。

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