工場非正規雇用社員は大型連休が嫌い

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長い連休は給料が減ってしまう

わが社は正規雇用と非正規雇用(定時社員と呼んでいます。)に分けられます。工場ではたらく人は正規と非正規が入り混じっていて摩擦もそれなりに生じます。昔は完全に時間給で働いてもらっていたようですが、ある時からきちんと契約をしないと外注できないようになり、会社に定時社員として働くか選択を迫られました。工場で働く職人さんは会社員生活が性に合わずにお気楽にやっている人が多いので、この選択を迫られた時は半数ぐらいの職人さんはやめていったそうです。日当でもらっている人は、国民年金や社会保険などに加入していない場合が多く、「国民年金なんかいらねぇ」と威張っていました。将来的には国民年金には不安がいっぱいですが、今の60代後半ぐらいの人は年金を払っていれば最低限の生活はできているのではないかと思います。

わが社はホワイト企業と呼ばれたいと思っている様で祝日はきちんと休むようにと通達がでます。「社員を大事に思っている」アピールを外部にしたいからです。正社員は給料が減ることはないので良いのですが、定時社員の皆さんは働かないと給料が増えません。以前は勝手に休日に出勤していたこともあるようです。そんなのあり?
ところが休みなさいという監視が厳しく、このままでは定時社員の方は連休が多いと給料が下がってしまうようです。休憩の時などはそのぼやきを聞かされます。

時間給なので、目先の給料は高くみえる

わが社は田舎にあるので持ち家を持っている職人は多くいます。ただし、貯蓄はあまりないようで、60代の定年を超えてもまだ働ける場所が必要だと言っていました。工場ではケガすることもあり、骨折などの長期離脱する可能性がある傷害の場合は保険にはいっているものの、生活そのものが成り立たないのではないかと思います。時給計算で働く場合は税金や年金などをあまり考慮しない人が多く、つい忘れがちです。
何もひかれないので、すべてが自分の生活費として使えると思いがちです。フリーランスなどという概念さえ持たないオッサンは、振り込まれた金額だけが正解です。
税金を払えなどと通知がこようものなら、本来10分間の休憩タイムをさらに15分延長して不満を同僚にぶちまけます。「政治が悪い。アイツが悪い。会社が悪い。」連休が続くと収入が減るのです。それでイライラしているだけで本当に政治に不満があるわけではありません。
ここで興味が無いのを悟られてはいけないので、同情した振りをしながら相槌をうまいタイミングでしなければなりません。この時に決して一般常識である納税とか義務などという愚かしい知識を振りかざしてはいけません。

生意気な新入社員君が社員研修を終えたばかりの知識を自慢げに披露し始めます。
「それって国に払わなければいけない金っすよ。国民の三大義務って知ってますか。払わないとマジやばいっす。」周囲の雰囲気が凍り付きました。もちろん即座に教育的指導という感情にまかせた社員研修の実施の時間が始まります。
新入社員君は胸倉をつかまれて身動きがとれません。怯えた目で周りの人間に助けを求めますが、最初に助けに入ると巻き添えをくらう可能性があるので躊躇します。一応私がその中では正社員ですし立場上は管理者に近いのです。
「止めるのはあなたですよ」の視線が集まります。頃合いだとみて「何も知らない若者なので。」と仲裁に入ります。研修で身に着けた知識が実際の現場で通用するのかこういう場面を通じて新入社員は学んでいきます。

見下されているのか見下しているのか

怒りを新入社員君にぶつけた職人のAさんは日雇い時代からわが社の工場で働いていました。Aさんは50代の半ばです。年金の払い込み期間は変更されており、25年間から10年間に変更されていることも知りません。自分の先輩が言っている「どうせ我々はもらえないのだ。」という言葉を信じ込み、頑なに損をしているとぼやいています。退職していった職人は高齢で10年は勤められないので無責任な発言をしますが、逆算するとAさんは僅かながらでも年金はもらえるはずなのです。
いつでもこんな会社辞めてやるといいつつ、まったく辞める気配もありません。
こういう工場で働く職人さんは不思議なもので遅刻はあまりしません。下手をすると我々よりも勤勉に働きます。
手取りで言うと多めの給料をもらい、好き放題つかえるのをみるとちょっとうらやましいのですが社員をバカにする発言をします。
腕一本で食べていっている自分を誇らしげに思っているようです。

イライラをぶつけるためにAさんはわけのわからないことをわめきます。
「今日はもう働かねぇぞ!来週になんねぇとやらないからな!」来週は連休です。そんなご無体な。
「この仕事をどうしてもして欲しければ、連休中も工場を稼働しろと工場長に言ってこい!」連休にでれば休日出勤でちょっとだけ給料があがります。
仲裁のどさくさ紛れにとんでもない事言います。このオッサン。
ウチの工場長も実はAさんにはビビり気味なのです。伝えると「ちっしょうがねぇなぁ。」と渋々承諾しました。実際はかなり繁忙期で理由があれば休日も工場を稼働したいのです。
Aさんはお金を、工場長は工場の稼働を、私はAさんの意見を工場長に認めさせましたよ、という皆得した結果になってホッとしています。

一安心したのも束の間、新入社員君が、これはハラスメントだと騒ぎ出したようです。今度は彼を説得しなければなりません。あーめんどくさ。

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